
トランプ米大統領は、あと10日余りとなった任期を全うできるのだろうか。大統領支持者による議会乱入を扇動したとして民主党はもとより身内の共和党からも激しい反発が噴出している。
議会、メディアには、大統領が「職務遂行不能」に陥ったとして権限を停止する、再び弾劾裁判にかけて罷免すべきなどーなど強硬論が台頭する一方、大統領の自発的な辞職を促す声もでている。 すべての手続きが“時間切れ”となって大統領が職にとどまったまま1月20日の任期切れを迎える公算も強いが、その場合でも「一市民」として刑事訴追を受ける可能性が残る。トランプ氏にとって、2024年の大統領選でのカムバックはもとより、平穏な引退生活を送ることもすら、うたかたの夢と消えてしまうだろう。
「扇動」の批判やむなし
大統領選での選挙人投票を確定させる米上下両院合同会議にトランプ支持者が乱入、議事堂を一時占拠した前代未聞の事件については、日本のメディアでも詳しく報じられたので、触れるのは避ける。これが民主主義の元祖、アメリカで起きたことかと目を覆うばかりで、バイデン次期大統領らが「もはや抗議ではなく暴動だ」などと非難したのも当然だろう。 トランプ氏の関与しないところで事件が起きたならともかく、大統領の発した言葉がきっかけとなったのだから責任は極めて重い。 大統領は両院合同会議にあわせてホワイトハウス前で支持者を集めて集会を開き、あらためて、勝者は自分だと主張、支持者に向かって議事堂に行って「力強さをみせつけてやれ」と過激な抗議活動をするよう呼びかけた。暴動を扇動したといわれても言い訳はできまい。 大統領は群衆が議場や議長席、下院議長の執務室を占拠、死者も出るに至って、ことの重大さに気がつき、群衆に暴力をやめて帰宅するよう促したが、時すでに遅かった。 このこと自体、自らの言葉が暴動を引き起こしたことを大統領が自覚している証左だろう。
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