
米下院民主党は11日、トランプ大統領が連邦議会議事堂襲撃の「反乱を扇動した」として、罷免を要求する弾劾決議案を提出した。同案は13日に審議されるが、弾劾裁判が行われる上院での罷免には3分の2の賛成が必要で実現はほぼ困難だ。だが、民主党は上院の過半数の賛成で足りるトランプ氏の「将来の公職追放」を狙っていると見られており、同氏の窮地は一段と深まった。
2回の弾劾受ける史上初の大統領
民主党のペロシ下院議長は「大統領の脅威は切迫したものであり、われわれも速やかに行動しなければならない」と述べ、トランプ氏解任の追及を断固続ける考えを強調した。議長ら民主党指導部の「トランプ解任戦略」は2段構え。憲法修正25条による「職務不能」の解任と、弾劾による罷免だ。 前者については、下院民主党は11日、副大統領と閣僚の過半数の賛成でトランプ氏を職務不能とし、ペンス副大統領を大統領代行にする25条の適用を求める決議案を既に提出した。12日に可決される見通しだが、ペンス氏はこの適用に反対していると伝えられており、決議案通りに事態が動く可能性は低いようだ。ペロシ議長はペンス氏が動かなければ、弾劾決議の手続きを推進するとしている。 弾劾決議案によると、トランプ大統領は支持者らによる議事堂襲撃前の演説で、選挙に勝ったと虚偽の主張をし、「死ぬ気で戦わなければ、国を失う」などと扇動して襲撃を促したと指摘。「重罪と不品行により弾劾される」と指弾した。その上で、トランプ氏が職務にとどまれば、民主主義や憲法、国の安全保障にとって脅威となると大統領を厳しく非難している。 民主党が多数派の下院で、弾劾決議が可決されるのは確実視されており、トランプ氏は弾劾を2回受ける史上初めての大統領となる。問題は20日までのトランプ氏の任期が1週間余りしか残っていないことだ。民主党の有力議員の1人は新閣僚の承認などバイデン政権の始動に支障が出ないよう、上院での弾劾審議を遅らせるべきだと主張しており、下院で可決された弾劾決議を直ちに上院に送るかどうかをめぐって民主党内でなお意見の対立がある。
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