
イランが韓国船籍の「韓国ケミ号」を拿捕(だほ)した背景に挙げられている韓国国内の「イラン資金」は、イランが過去およそ2年間、韓国から回収できずにいた8兆ウォン(現在のレートで約7560億円。以下同じ)前後の資金のことだ。イランが保有する海外資産の中では最大規模といわれている。この資金は、2018年に米国のドナルド・トランプ政権がイランとの核合意から脱退して対イラン制裁を強化した際、韓国国内の銀行で凍結された状態にある。 ■「アジア・パワー指数」1位は米国、韓国7位…日本は? ■大部分がイランの原油輸出代金 韓国・イラン両政府は2010年、米国がイランに対する金融制裁に乗り出してドル送金ルートがふさがれると、ウリ銀行および企業銀行にウォン決済口座を作り、輸出入代金用として使うことで合意した。例えば、イランが韓国に原油を輸出したら、韓国側は代金をドルではなくウォンで支払ってこの口座に振り込み、イランが韓国企業から商品を輸入する際には、この口座から資金を引き出して韓国企業に支払う-という方式だ。 こうした相殺方式で貿易を行うと、イランに直接ドルが流れ込まない。当時は、韓国が支払う原油代金がイランの核兵器開発の資金に転用されないという確信を米国政府に植え付けることが重要だったため、この方式は「神の一手」と考えられた。韓国はイランに自動車部品や化学製品を主に輸出し、イランから原油を輸入した。韓国のイラン産原油依存度は10%前後で、2013年までの時点でも両国の貿易額は100億ドル(約1兆270億円)に達していた。
しかしトランプ政権が、イランとの貿易自体できないように制裁を強化したことで状況が変わった。ウリ銀行・企業銀行のイラン中央銀行名義の口座は凍結され、イランのメラト銀行ソウル支店は営業停止となった後、資金を一時的に韓国銀行へ預けなければならなかった。この3銀行にあるイラン資金は8兆ウォン前後、ドルに換算して70億ドルほどだと韓国政府関係者は説明している。資金が凍結された後、制裁を受けない人道的次元の医療品輸出が間欠的に行われたが、極めて小規模だった。8兆ウォンという巨額の資金をイランが回収したり処理したりする方法がなかったのだ。 ■「韓国船を拿捕して担保にする可能性」 これまでイランは、この凍結資金を解除するよう韓国政府に強く要求してきた。韓国政府は最近、コロナ被害が大きいイランに韓国製の医薬品や防疫装備などを輸出し、返済に代えるという方式を提案した。しかし一部のイラン側関係者が「途方もなく金額が小さい」という理由で公然と不満を示していたという。また昨年には、イラン国内のコロナの状況が悪化すると、強硬派の政治家らが「韓国が原油代金を支払わないのでワクチンが買えず、こうなった」「韓国と米国は主従関係」と、反韓感情をあおることもあった。 そこで代案として浮上したのが、コバックス・ファシリティー(COVAX facility)を通してコロナワクチンを確保し、この代金を韓国国内の凍結資金で納付するという案だ。韓国外交部(省に相当)の関係者は「コバックス代納用として活用できるようにする案を話し合っているところだった」とし「米財務省から特別承認ももらった状態だった」と語った。コバックス・ファシリティーは、世界保健機関(WHO)が主導するコロナワクチンの共同購入および配分事業だ。人道的金融取引なので制裁事案ではなく、8兆ウォンのうち1000億ウォン(約94億円)未満の資金をコバックスに前金として支払うことで米国の同意も得られていたという。
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