米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスの変異株「デルタ」には水ぼうそう並みの感染力があり、ワクチン接種を完了している人にも感染する可能性があるほか、従来のコロナウイルスよりも重症化する恐れがあるという内部文書を公表した。
CDCは「戦いに変化が起きたことを認めるべき」とし、急速に拡大するデルタ株を巡るリスクを周知させるために新たな対応が必要と強調した。
ワクチン未接種者が感染する確率は、ワクチン接種を完了している人に比べ3倍高く、重症化もしくは死亡するリスクは10倍以上高いという。
報告書によると、デルタ株は、中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、エボラ、風邪、季節性インフルエンザ、天然痘を引き起こすウイルスよりも、感染力が高いという。
ワクチン接種を済ませている人が感染する公算は小さいものの、一度感染すると、ワクチン未接種の人と同様に他の人にウイルスをうつす可能性があるという。
CDCは感染拡大抑制に向け、脆弱な人々を守るために医療従事者へのワクチン接種を義務化し、全て人にマスク着用を義務付ける対応を提言した。
CDCは27日、マスク着用の指針を変更し、ワクチン接種を済ませた人もマスク着用を再開すべきだと表明。指針の変更は今回の内部文書に基づくものだったという。
30日時点で、マスク着用が必要と見なされるコロナ感染率の高い地域は米国内の73.8%の郡という。29日の69.3%から拡大した。
また、CDCが30日に公表したマサチューセッツ州で発生した感染の調査に関するデータからは、感染者の約4分の3がワクチン接種を済ませた人だったことが分かった。
データによると、公のイベントで新型コロナに感染した469人中、74%がワクチン接種を完了していた。さらに、感染者133人から採取したウイルス検体の90%がデルタ株だったことも明らかになった。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は30日、デルタ株の感染拡大によって、コロナとの戦いで「苦労して獲得した成果が危機にさらされている、もしくは失われつつある」と警告した。
WHOで緊急事態対応部門を統括するマイケル・ライアン氏は「ワクチンにはなお、重症化や入院の予防で大きな効果がある」と強調した。
また、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は30日、食品医薬品局(FDA)が早ければ8月半ばまでに新型コロナワクチンを正式承認することを期待しているとし、正式承認されれば、一段のワクチン普及を後押しする可能性があると述べた。
これまでに米ファイザー・独ビオンテック、米モデルナが正式承認に向けた申請を行っている。
米国では現在、ファイザー・ビオンテック製ワクチンが12─18歳向けに承認されている。ファウチ氏は秋にかけ、ワクチンが11歳以下にも効果があるかを示すデータを確認できる見通しとした。
[ロイター]
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