国際社会の及び腰の対応がミャンマー軍を増長させ、独裁体制の構築を許している。日米欧は中露も巻き込んだ形で軍に圧力をかけ、ミャンマー国民を支援すべきだ。
軍の意思決定機関「国家統治評議会」がミン・アウン・フライン最高司令官を首相とする暫定政府の発足を発表した。2023年8月までに総選挙を行うという。
2月のクーデターから半年の節目を機に、権力掌握を誇示し、統治体制を強化する狙いだろう。
軍が主管する選挙管理委員会はアウン・サン・スー・チー氏率いる民主派政党が圧勝した昨年の総選挙について、不正があったとして無効にすると決定している。
民主派を壊滅させたうえで総選挙を行い、軍主導の政権を確立しようとするシナリオが、改めて明白になった。民主的な体制への回帰は一段と遠のいたと言える。
ミン・アウン・フライン氏は演説で「国は安定している」と強調したが、実態とかけ離れている。クーデターに抗議する国民を軍や警察が殺傷し、暴力的に抑え込んでいるだけだ。軍の統治が支持されているわけではない。
クーデターによる打撃を被っているのは国民である。公務員や医療関係者らが軍への反対を示すために仕事をボイコットする「不服従運動」に海外投資の減少も加わり、経済は大きく落ち込んだ。
コロナ禍の中で、軍系の病院が医療用酸素や機材を抱え込み、多くの市民が適切な治療を受けられずにいるという。各国からの避難民向け支援物資が軍の妨害で届かない事例も報告されている。
人道危機の状態になっているにもかかわらず、放置してきた国際社会の責任は極めて大きい。
国連安全保障理事会は分裂状態に陥っている。米英などが軍への制裁を求める一方、拒否権を持つ中露が
ミャンマーの人道危機が深刻化したり、内戦に陥ったりした場合、中露の責任は免れまい。軍に影響力を行使し、自制を促すのが筋ではないか。日本も軍への「懸念」を表明するだけでなく、中露への働きかけを強める必要がある。
9月の国連総会では、ミャンマーの国連大使を巡る信任投票が行われる予定だ。軍に反対する姿勢を示して解任された現国連大使と、軍が擁立した新たな大使候補の間で争われる。
できるだけ多くの国が現大使を信任し、軍の暴挙を認めない意思を示さねばならない。
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